免疫力を高める運動について解説!おすすめの運動と免疫力が落ちる3つの原因
最近風邪予防のために運動を始めようと思っているんですけど…
ユーグレナ 鈴木
それは良いことですね!運動をすると免疫力が上がるのでおすすめですよ!
でもどんな運動をすれば良いのかわからなくて…
ユーグレナ 鈴木
有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)をすることがおすすめです!今回は免疫力を上げる運動や目安となる運動量について詳しく解説をしていきます!
そもそも免疫力とは??
私たちの体にはウイルスなどを体に侵入させず、また侵入してしまったウイルスと戦う免疫が備わっています。
私たちの日々の生活の中では、ウイルスや花粉、ほこりのような異物が絶えず体の中に侵入しようとしています。
例えば、これらの異物が体内に侵入する事の多い粘膜面からの侵入を防ぐ「粘膜免疫」も免疫機能です。
この粘膜免疫のような体を守る免疫機能の強さを表したものを免疫力といいます。
免疫力の強さは様々な要因で決まりますが、運動とも深い関わりがあります。
運動をすれば免疫力は上げることができるんですか?
ユーグレナ 鈴木
はい!次で詳しく解説しますね!
運動と免疫力の関係
免疫力を高めるためには、適度な運動をすることはとても大切です。
1時間以内の比較的短時間の運動をすることで、全身免疫に関係するナチュラルキラー細胞が増殖します。
ナチュラルキラー細胞は体内でウイルスに感染した細胞や、突然変異などにより発生した異常な細胞を認識し、攻撃・破壊をする細胞です。
このナチュラルキラー細胞が増殖することで免疫力が高まることにつながるのです。
また、筋肉量も免疫力に関係しています。
というのも低体温の場合には免疫力にかかわる細胞の活動が低下してしまいますが、筋肉量が多いと、運動をした際に体温が上がりやすくなります。
そのため筋トレのような無酸素運動でも筋肉量が増えるため、免疫力が上がるのです。
筋トレに関しては以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
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運動をすれば免疫力が上がるんですね!じゃあ運動をすればするほど免疫力が上がるんですか?
ユーグレナ 鈴木
実は運動のやりすぎは逆に免疫力を下げることもあるんです…次で詳しく解説しますね!
過度な運動は免疫力を下げてしまう!?
45分間の運動を週5回、15週間継続した人たちと、何もしていない人たちで比べたときに運動した人たちの方が風邪を引いても風邪を引いた期間が短いというデータがあります。
また、週5日40分のウォーキングをしている高齢女性の風邪を引く確率は、運動をしていない人たちに比べて低いこともわかっています。
つまり、運動をしていない人と運動を多少している人を比べると運動を多少している人の方が、免疫力が高いということになります。
また、運動をしていない人と運動を多少している人、運動を激しく行った人を比べると運動を激しく行った人は免疫力が低いということがわかっています。
実際に激しい運動やトレーニングをするアスリートは免疫力が下がりやすく、風邪を引きやすいともいわれています。
したがって、免疫力を上げるためには、激しい運動を避けて、適度な運動をするように心がけましょう。
体が丈夫そうなアスリートが風邪を引きやすいのは意外でした!
ユーグレナ 鈴木
実はそうなんです…オリンピックなどで風邪を引いてしまう方もいるそうですよ!
適度な運動の目安
免疫力を上げるためには適度な運動が大切です。
ただし、過度に運動をしてしまうと、免疫力を下げてしまう可能性があることを解説してきました。
では適度な運動とは具体的にどのくらいなのでしょうか?
適度な運動の目安として、厚生労働省が作成した「成人を対象にした運動プログラム」を紹介していきます。
有酸素運動
有酸素運動とは筋肉を収縮させる際のエネルギーに酸素を使う運動のことで、具体的にはウォーキングやランニング、自転車(エアロバイクなど)や水中での歩行などが有酸素運動にあたります。
有酸素運動の強度は、自分自身がややきついと感じるぐらいのスピードで行うと効果的で、具体的な数字としては、最高心拍数(=自分の心拍数が最も早くなった時の値)の60~80%の強度で行うことが理想です。
最高心拍数は個人差があるものの、おおよそ「220-自分の年齢」とされています。
例えば30歳の方であれば、最高心拍数は220-30で190ですので、有酸素運動の際には114~152ぐらいの心拍数を意識し、時間は30~60分、回数は週に2~5回のペースで行うと良いでしょう。
普段から運動していなかったという方は、最初は30分の運動を週に2回のペースで始めて、慣れてきたら時間は頻度を増やしていくことがおすすめです。
これまで運動をあまりしてこなかったんですけど、どのくらいで時間や頻度を増やしていけば良いですか?
ユーグレナ 鈴木
4~6週間はそのままで、慣れてきたら少しずつ運動の時間と頻度を増やしていきましょう!
無酸素運動
無酸素運動とは酸素を使用せずに短い時間に大きな力を発揮する運動のことで、主に筋力トレーニングなどが挙げられます。
筋力のトレーニングの場合、強度の基準は、最大挙上重量(=1回しかできない負荷)の60~80%となっています。
ダンベルなどを用いる場合、自分で1回なんとか上げられる重量の60~80%、回数については8~12回を週に2~3回ほど行いましょう。
また、筋力トレーニングについては大きな筋肉をまんべんなく鍛えることで、効果が高まります。
具体的には下記の胸、背中、下肢の中からそれぞれ1種類ずつ選んで、トレーニングを行いましょう。
胸 | 背中 | 下肢 |
---|---|---|
厚生労働省「成人を対象にした運動プログラム」をもとに作成
大きい筋肉の筋トレが良いんですね!
ユーグレナ 鈴木
そうなんです!大きい筋肉を意識して筋トレを行うと効率的ですよ!
免疫力が落ちてしまう3つの原因
運動により免疫力を上げることはできますが、日常生活の様々な原因で免疫力下がってしまうこともあります。
せっかく運動をしているのに、他の原因で免疫力が下がってしまい、風邪を引いてしまったり病気になったりというのはもったいないですよね。
そこで、免疫力が落ちてしまう原因とその対策について紹介していきます。
睡眠不足
睡眠不足や生活習慣の乱れは免疫力を下げてしまう原因の1つです。
睡眠時間が短いと、粘膜免疫に関係するSIgAという抗体の分泌量が減ってしまいます。
このSIgAは体内に侵入してきたウイルスなどにくっついて無力化をさせる働きを持っているため、SIgAが減ってしまう事により風邪などを引きやすくなってしまうのです。
また、寝つきが悪いとか夜中に目が覚めるなどで、睡眠時間全体の2〜8%が眠れなかっただけで、ぐっすり眠れた人に比べて約5倍も風邪を引きやすいというデータがあります。
そのため、免疫力を落とさないために睡眠時間と睡眠の質の2つが大切です。
睡眠時間は個人差や季節による差があるものの、6~8時間を目安に取りましょう。
また、睡眠の質についても寝る前のアルコールやカフェインの摂取を避ける、部屋を暗くする、心地良い温度に調節するといった工夫をして質を高めていくことも大切です。
睡眠に関しては以下の記事で詳しく紹介してるので、ぜひご覧ください。
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睡眠にも気をつけないといけないんですね!
ユーグレナ 鈴木
はい!睡眠の時間と質の2つに気をつけましょう!
乱れた食生活
食事についても野菜不足、栄養の偏り、過食などで栄養状態が不安定になると免疫力が落ちてしまいます。
バランスの良い食事の基準として厚生労働省が「食事バランスガイド」を作成しているので紹介していきます。
出典:厚生労働省「食事バランスガイド(基本編)」
食事バランスガイドでは「主食」、「副菜」、「主菜」、「牛乳・乳製品」、「果物」を1日にどれくらい摂取したら良いかがわかります。
例えば主食であれば1日あたりごはん中盛りを4杯程度、食パンであれば6枚程度、うどんであれば3杯が目安となっています。
この食事バランスガイドを参考に栄養バランスよく、また過食や少食とならないように気をつけましょう。
最近は食事に気をつかえていませんでした…
ユーグレナ 鈴木
できるだけバランスよく食事を取るようにしていきましょう!
ストレス
精神的、心理的なストレスも免疫力が落ちる原因となります。
強いストレスを受けると、IgAの分泌量が低下し、免疫力が落ちてしまいます。
例えばテスト前や受験など強いストレスを受ける体調を崩しやすいという方は免疫力が落ちてしまっていることが関係しているかもしれません。
またその対策として、これまで解説してきたような運動、睡眠、食事を徹底するようにしましょう。
また、「笑い」がIgAの分泌量を増やすというデータもありますので、気分転換にお笑いの映像などをみることもおすすめです。
ストレスは難しい問題ですよね…
ユーグレナ 鈴木
そうですね…ストレスをうまく発散する方法を探っていく必要があります!
まとめ
免疫力を高めるためには適度な運動が大切です。
過度な運動は逆に免疫力を下げてしまう可能性があるので気をつけましょう。
また、免疫力を落とさないためにも、睡眠、食事、ストレスなどにも気をつかうことも重要です。
鈴木さん今日は「免疫力を上げる運動」や気を付けるべき点について教えてくれてありがとうございます!
ユーグレナ 鈴木
いえいえ!免疫力を上げるためには適度な運動が大切です!また、やりすぎにも注意してください!
はい!ありがとうございます!
出典
日本食品科学工学会誌「粘膜免疫・粘膜ワクチン」
NSCAジャパン「免疫力-SIgAが免疫力の大きな鍵を握っている」
‘Sleep habits and susceptibility to the common cold’ Arch Intern Med. 2009 Jan 12; 169(1): 62-67
厚生労働省「成人を対象にした運動プログラム」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014」
厚生労働省「食事バランスガイド」
監修:鈴木 健吾
(研究開発担当 執行役員)
東京大学農学部生物システム工学専修を卒業。
2005年8月、取締役研究開発部長としてユーグレナ創業に参画、同年12月に、世界初となる微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。
2016年東京大学大学院博士(農学)学位取得、2019年に北里大学大学院博士(医学)学位取得。
現在、ユーグレナ社研究開発担当の執行役員として、微細藻類ユーグレナの生産およびヘルスケア部門における利活用に関する研究等に携わる。
マレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院客員教授、東北大学・未来型医療創造卓越大学院プログラム特任教授を兼任。
東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点研究責任者。