免疫応答って何?免疫のしくみや免疫に異常が起こった場合を解説!
免疫応答という言葉を聞いたんですけど、免疫応答とはなんですか?
ユーグレナ 鈴木
免疫応答は有害物質から身体を守る免疫機能の反応のことをいいます。
なるほど!免疫機能って他にもあるんですか?もっと詳しく教えてください!
ユーグレナ 鈴木
わかりました!それでは免疫応答やその他の免疫機能などを紹介します!
免疫応答とは
私たちの身体は、細菌やウイルスなどの有害物質から身を守る免疫という機能が備わっています。
この免疫機能が細菌やウイルスなどに反応し、侵入を防いだり、攻撃しようとすることを免疫応答といいます。
そして、1回目の侵入に対する免疫応答と、同じ有害物質による2回目以降の侵入に対する免疫応答は違うことがわかっています。
そこで、この2つの違いについて説明していきます。
一次応答
初めて侵入される有害物質に対しては、IgMという種類の抗体がはたらきます。
そして、IgMという抗体が有害物質に対して攻撃をしながら、有害物質の情報を記憶し、その有害物質にあった抗体を作っていきます。
新しく作られた抗体はIgGと呼ばれ、この抗体が強力な力を持っているので有害物質にとどめをさします。
一次応答は、有害物質が侵入してきて初めてIgGという抗体を作り始めるので対処が遅れ、有害物質による風邪やインフルエンザなどの感染症が長引いてしまう傾向にあります。
二次応答
2回目以降に侵入される有害物質に対してもまず、偵察の役割を持つIgMという抗体がはたらきます。
しかし、一次応答の時に侵入された有害物質の情報を記憶しているので、すぐにその有害物質に適したIgGという抗体を作ります。
また、IgGの数も一次応答の時よりも多く作られるので、一次応答の時よりも早く対処でき、軽症化が期待できるのです。
ちなみに、ジフテリアやおたふく風邪など、感染症の中には1度感染すると、2度目以降はかからないものもあります。
これも、一次応答、二次応答の免疫機能が関係しているのです。
なるほど!これらの機能のことを免疫応答と呼ぶんですね!
ユーグレナ 鈴木
そうなんです!次は免疫応答のしくみについて詳しく紹介します!
免疫応答のしくみ
免疫応答には、一次応答と二次応答があるということを説明しました。
この免疫応答が具体的にどのような細胞やしくみによって成り立っているかを紹介します。
自然免疫応答
自然免疫は元々人の身体に備わっているしくみです。
自然免疫に含まれる免疫細胞は、自分以外の有害物質をいち早く認識し、攻撃することで有害物質を排除します。
自然免疫を代表する細胞としてマクロファージやNK細胞、好中球やマスト細胞があります。
これらの細胞がはたらくことで、IgMという抗体をつくり体外から侵入してきた有害物質を攻撃したり、有害物質の情報を他の免疫細胞に伝えたりします。
この自然免疫による反応のことを自然免疫応答と呼び、主に一次応答でみられるしくみです。
免疫細胞の種類などは以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
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獲得免疫応答
自然免疫は血液中に入った小さい病原体や、細胞の中に入り込んでしまった有害物質の対処が難しいという特徴があります。
そこで活躍するのが獲得免疫です。
獲得免疫は1度侵入した有害物質の情報を記憶するという特徴があります。
この記憶した情報を使って1週間から2週間かけてIgGとよばれる抗体を作ります。
そうすることで再び同じ有害物質が侵入してきた際に、抗体で素早く有害物質に対処することができるのです。
獲得免疫を代表する細胞として、樹状細胞やキラーT細胞、ヘルパーT細胞、制御性T細胞、B細胞があります。
獲得免疫の細胞は有害物質を攻撃する抗体を作ったり、抗体の記憶、有害物質の攻撃、攻撃の制御などをおこなっています。
この獲得免疫による反応のことを獲得免疫応答と呼び、主に二次応答でみられるしくみです。
獲得免疫については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
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なるほど!このしくみが免疫に大きくかかわっているんですね!
ユーグレナ 鈴木
そうなんです!つぎは免疫機能に異常が生じてしまった場合などを紹介していきます!
免疫寛容と免疫異常
免疫細胞は、身体を守るために有害物質を攻撃するはたらきがあります。
その免疫細胞が自分自身の身体を攻撃しないのは、免疫寛容というしくみがあるからです。
免疫寛容が弱まるなど、免疫機能に異常が生じることで引き起こされる病気もあります。
そこで、免疫寛容や免疫異常について紹介していきます。
免疫寛容
免疫機能が正常にはたらき、体内に侵入してきた有害物質を排除することで、私たちは健康を保っています。
そんな免疫機能ですが、自分の身体をつくる細胞自身や普段口にする食べ物、栄養素である乳酸菌などには反応しません。
有害物質だけ排除して、他の物質は排除しないということができる理由は、身体に免疫だけでなく、免疫寛容という機能も備わっているからです。
免疫寛容の具体的な機能は2つあります。
1つは中枢性免疫寛容と呼ばれる、B細胞とT細胞がちゃんと攻撃する相手か見分けられる細胞かチェックし、自分自身を傷付ける可能性がある細胞は死滅させるというしくみです。
2つ目は末梢性免疫寛容と呼ばれる、上のチェックにもれたB細胞とT細胞が自分自身を傷付けようとした場合、その細胞を抑制するしくみがあります。
免疫寛容のこの2つの機能によって身体を守っているのです。
免疫寛容については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください
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免疫異常
一次応答や二次応答のような免疫機能や免疫寛容が何らかの原因で弱まったり、強すぎたりしてしまうことを免疫異常と呼びます。
一次応答や二次応答のような免疫機能に異常が生じると、身体の抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。
また、免疫寛容に異常が生じて免疫の過剰反応などが起こると、自分の身体を傷付けてしまったり、アレルギー症状を引き起こしてしまいます。
免疫の過剰反応については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
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なるほど!自分の細胞から自分自身を守る免疫の機能もあるんですね!
ユーグレナ 鈴木
そうなんです!さまざまな免疫機能がはたらいているおかげで健康でいられるんです!
まとめ
同じ感染症にかかってしまっても、軽度の症状ですんだり、早く治ったりするのは二次応答という反応が関係しています。
その他にも外部から侵入してくる有害物質から自分を守る自然免疫、獲得免疫や自分自身の免疫細胞から身体を守る免疫寛容など免疫にはさまざまな機能があります。
その機能に異常が起き、病気を発症しないようにするには免疫力を保つことが大切です。
今日は免疫応答について教えていただきありがとうございました!
ユーグレナ 鈴木
いえいえ、健康体でいるために、免疫力を意識して生活してください!
はい、ありがとうございます!
監修:鈴木 健吾
(研究開発担当 執行役員)
東京大学農学部生物システム工学専修を卒業。
2005年8月、取締役研究開発部長としてユーグレナ創業に参画、同年12月に、世界初となる微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。
2016年東京大学大学院博士(農学)学位取得、2019年に北里大学大学院博士(医学)学位取得。
現在、ユーグレナ社研究開発担当の執行役員として、微細藻類ユーグレナの生産およびヘルスケア部門における利活用に関する研究等に携わる。
マレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院客員教授、東北大学・未来型医療創造卓越大学院プログラム特任教授を兼任。
東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点研究責任者。