免疫グロブリンってなに?免疫グロブリンと免疫力、アレルギーの関係性について解説!
免疫グロブリンって言葉を耳にしたんですけど何なんですか?
ユーグレナ 鈴木
免疫グロブリンは、免疫機能のある特定のたんぱく質のことをいいます。
なるほど!もっと詳しく教えて下さい!
ユーグレナ 鈴木
では、今回は免疫グロブリンと免疫力、アレルギーとの関係性を解説していきます!
免疫グロブリンとは
免疫グロブリンとは、血液や体液中にある抗体としての機能と構造を持つたんぱく質のことをいいます。
抗体は、身体の中に侵入してきた細菌やウイルスに対抗して身体を守ってくれるたんぱく質です。
免疫グロブリンには、細菌やウイルスなどの有害物質を認識、結合し、その有害物質の破壊を助けるといった免疫の役割があります。
免疫グロブリンは、5つの種類があり、それぞれが異なる役割を持っています。
さらに、細菌などの感染に効果的なはたらきをする種類もあるため、治療薬としても使われることもあります。
なるほど!免疫グロブリンには、5つもの種類があるんですね!
ユーグレナ 鈴木
そうなんです!それでは、免疫グロブリンの種類と特徴について説明していきますね!
免疫グロブリンの5つの種類と特徴
免疫グロブリンには、5つの種類がありそれぞれ異なる役割をもちます。
それぞれの免疫グロブリンの種類と特徴について解説していきます。
IgG
IgGは、血液中に最も多く含まれている免疫グロブリンで抗体の約75%を占めます。
IgGの特徴として、主に細菌やウイルスに対する防御の役割があげられます。
身体の中に侵入してきた細菌やウイルスと結合して、有害物質の動きを止めたり、白血球のはたらきをサポートしたりして、有害物質から身体を守ります。
さらに、胎盤を通過することができるため、母親から胎児に移行し、生まれてからの数ヶ月間は赤ちゃんの身体を守るためにはたらきます。
IgA
IgAは、免疫グロブリンの約15%を占めます。
IgAは、のど、腸、気管支などの粘膜の表面に多く存在します。
IgAの特徴として、病原体やウイルスなどの有害物質が体内に侵入してくるのを防ぐという役割があげられます。
IgM
IgMは、免疫グロブリンの約10%を占めます。
私たちが細菌やウイルスに感染した時に、最初に作られる抗体です。
IgMは、抗体のはたらきを助ける補体といわれるたんぱく質と協力して、病原菌やウイルスなどを破壊したり、白血球が破壊した菌を食べるのをサポートします。
さらに、IgMには一度体内に入ってきた有害物質を記憶し、その有害物質だけに対応したIgGを作るはたらきがあります。
そのため、血液の中のIgMを調べることで、今どんな感染症にかかっているのかを知ることができます。
IgD
IgDは、免疫グロブリンの約0.2%を占めます。
実は、IgDの役割はよくわかっていません。
ですが、リンパ球の成長や分裂に何らかの役割を持っていると考えられています。
IgE
IgEは、免疫グロブリンの約0.002%を占めます。
免疫グロブリンの種類の中では、IgEは最も量が少なく感染への防御的役割は低いです。
ただし、防御能力が低いながらもIgEには、体内に侵入してきた花粉などのアレルギーの原因となる物質から身体を守る役割があります。
しかし、有害物質から身体を守る時に発生されるヒスタミンなどが多く出すぎてしまうと、くしゃみや鼻水などのアレルギー反応を引き起こす原因になってしまいます。
免疫グロブリンとアレルギー症状については後ほど説明しますので、ぜひご覧ください。
なるほど!免疫グロブリンの種類によって、役割が異なるんですね!
ユーグレナ 鈴木
そうなんです!次は、この免疫グロブリンがどのように免疫にかかわっているか説明します!
免疫グロブリンと免疫力の関係
私たちの身体は、細菌やウイルスなどの有害物質から身を守る免疫という機能が備わっています。
この免疫機能が細菌やウイルスなどに反応し、侵入を防いだり、攻撃しようとすることを免疫応答といいます。
この免疫応答で重要な役割を果たすのが、免疫グロブリンIgMとIgGです。
そして、1回目の侵入に対する免疫応答と、同じ有害物質による2回目以降の侵入に対する免疫応答は違うことがわかっています。
それでは、この2つの免疫応答について説明していきます。
一次応答
一次応答とは、1回目の有害物質の侵入に対する免疫応答のことをいいます。
初めて侵入される有害物質に対しては、IgMという種類の抗体がはたらきます。
そして、IgMという抗体が有害物質に対して攻撃をしながら、有害物質の情報を記憶し、その有害物質にあった抗体を作っていきます。
新しく作られた抗体はIgGと呼ばれ、この抗体が強力な力を持っているので有害物質にとどめをさします。
一次応答は、有害物質が侵入してきて初めてIgGという抗体を作り始めるので対処が遅れ、有害物質による風邪やインフルエンザなどの感染症が長引いてしまう傾向にあります。
二次応答
2回目以降に侵入される有害物質に対してもまず、偵察の役割を持つIgMという抗体がはたらきます。
しかし、一次応答の時に侵入された有害物質の情報を記憶しているので、すぐにその有害物質に適したIgGという抗体を作ります。
また、IgGの数も一次応答の時よりも多く作られるので、一次応答の時よりも早く対処でき、軽症化が期待できるのです。
ちなみに、ジフテリアやおたふく風邪など、感染症の中には1度感染すると、2度目以降はかからないものもあります。
これも、一次応答、二次応答の免疫機能が関係しているのです。
免疫応答について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
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なるほど!免疫グロブリンは私たちの免疫機能に影響するんですね!
ユーグレナ 鈴木
はい!ただ、免疫グロブリンはアレルギーの原因にもなるんです。
免疫グロブリンとアレルギーの関係
免疫グロブリンは、アレルギーの原因となってしまう場合もあります。
アレルギーの種類は複数ありますが、その中でも免疫グロブリンが原因となって起こるアレルギーについて説明していきます。
即時型アレルギー
即時型アレルギーの原因である抗原との接触後、短時間で起こる反応です。
本来の免疫の役割は、外から入ってきた細菌やウイルスなどの有害物質を攻撃し身体を守ることです。
ですが、外から侵入してきた無害な物質にまで免疫が過剰に反応してしまうことでアレルギー反応が起きてしまうのが、即時型アレルギーの特徴です。
即時型アレルギーは原因となるアレルギー物質に反応して体内のIgE抗体が過剰に作られ、それがマスト細胞にくっつくことで起こります。
即時型アレルギーの代表例としては、花粉症、アトピー性皮膚炎やハウスダストアレルギーなどがあげられます。
花粉やハウスダストといった、本来人間にはあまり害のない物質にも免疫機能が過剰に反応し、追い出そうとする結果、くしゃみや鼻水などの症状を引き起こすのです。
こちらの記事で、ヒスタミンが原因となって起こる花粉症の症状について詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
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遅延型アレルギー
遅延型アレルギーは、アレルギー反応が出現するまでの時間が長いことが特徴です。
その遅延型アレルギーは、血液に最も多く含まれている抗体であるIgG抗体が原因で起こります。
症状がすぐに出ないため原因としてみつかりにくく、症状が現れてから数週間から数ヵ月続く場合があります。
遅延型アレルギーの代表例としては、食物アレルギーや金属アレルギーなどがあげられます。
アレルギーについては以下の記事で詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。
自己免疫疾患とアレルギー疾患って違うの?自己免疫疾患とアレルギー疾患について徹底解説!
花粉症などのアレルギー対策
免疫グロブリンは免疫として機能し、身体を健康な状態に保つ効果があります。
なので、アレルギーの原因になるという理由で免疫力を下げようとするのではなく、別の方法でアレルギーの対策をしましょう。
基本的にアレルギー対策は、アレルギーの元となる物質を遠ざけることが大切です。
例えば花粉症の場合は、外出る時にマスクをつけ、手洗いをし、室内でも空気清浄機を付けるなど花粉が付着したり体内に侵入するのを防ぐことが大切です。
その他のアレルギーでも、部屋を頻繁に掃除してハウスダストを減らす、金属を身に付けないようにするなどの対策が効果的です。
花粉症の対策については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
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なるほど!免疫グロブリンはアレルギーにも関係していたんですね!
ユーグレナ 鈴木
そうなんです!アレルギーは原因となる物質を遠ざけることで対策するのがおすすめですよ!
まとめ
免疫グロブリンとは、抗体として身体を健康な状態に保つ機能を持つたんぱく質のことをいいます。
免疫グロブリンには複数の種類があり、それぞれに特徴があり、違うはたらきをしながら身体を守ってくれています。
免疫力を上げ有害物質から身を守りつつ、アレルギーの原因物質を生活からなるべく遠ざけることで健康的な生活を送るようにしましょう。
今日は免疫グロブリンについて教えていただきありがとうございました!
ユーグレナ 鈴木
いえいえ、ぜひアレルギーにも意識しながら健康的な生活を送ってください!
はい、ありがとうございます!
監修:鈴木 健吾
(研究開発担当 執行役員)
東京大学農学部生物システム工学専修を卒業。
2005年8月、取締役研究開発部長としてユーグレナ創業に参画、同年12月に、世界初となる微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。
2016年東京大学大学院博士(農学)学位取得、2019年に北里大学大学院博士(医学)学位取得。
現在、ユーグレナ社研究開発担当の執行役員として、微細藻類ユーグレナの生産およびヘルスケア部門における利活用に関する研究等に携わる。
マレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院客員教授、東北大学・未来型医療創造卓越大学院プログラム特任教授を兼任。
東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点研究責任者。