管理栄養士に聞く、日常習慣でできる免疫対策 ”食べ合わせの妙”で栄養をアップするテクニック
濱裕宣先生
今年は季節性インフルエンザが異例の流行!日本人の5人に1人が感染しやすい体質!
例年、冬に流行するインフルエンザですが、今年は早く感染が拡大しています。そこで、株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)は、2023年10月に、全国20代~60代の男女1000名を対象に、免疫対策に関するアンケート調査を実施しました。また、日常習慣に取り入れやすい免疫対策につながる栄養素とその摂り方のコツを、東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 部長で管理栄養士の濱裕宣先生に伺いました。
全国的にインフルエンザの流行時期が例年より早まっており、今年は特に、新型コロナウイルスの感染拡大、インフルエンザとの同時流行も懸念されています。ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストが展開する「遺伝子解析サービス※1」によると、日本人の5人に1人がインフルエンザに感染しやすい体質※2だということもわかっており、多くの人が感染対策をすることが必要です。
※1 個人の健康リスク・体質・祖先について350項目以上の遺伝子型を解析し、どのような病気にかかりやすいか、どのような体質の遺伝的傾向があるかについて結果を提供するサービスです。
※2 遺伝子解析項目「インフルエンザ感受性(かかりやすさ)(SNP:rs1143627)」に関して、日本人における遺伝子型の割合は、「感受性が高めのタイプ(遺伝子型:CC)」が21.5%、「感受性が一般的なタイプ(遺伝子型:CT)」が48.9%、「感受性が低めのタイプ(遺伝子型:TT)」が29.6%でした。つまり、この遺伝子に注目すると、日本人の5人に1人が感染しやすいタイプと言えます。
免疫対策につながる栄養素の認知は広がるも習慣として摂取している人は少ない傾向に
マスクの着用、手洗い、うがいなどの基本的な対策はもちろん不可欠ですが、感染症にかかりにくい状況になるよう整えるための免疫対策にも積極的に取り組みたいものです。そこでこの度、当社は、2023年10月に、全国20代~60代の男女1000名を対象に、免疫対策に関するアンケート調査を実施しました。
調査の結果、上位には「手洗いうがいをする」(669人)、「マスクをする」(542人)、「睡眠を十分に摂る」(405人)、「バランスの良い食生活」(312人)と続き、基本的な感染症対策・免疫対策についての知識が多くの方に浸透していることがわかりました。また、免疫対策として摂取している栄養素に着目すると、「乳酸菌を摂る」(215人)、「ビタミンを摂る」(171人)、「食物繊維を摂る」(154人)、「たんぱく質を摂る」(145人)、「抗酸化物質を摂る」(54人)と続きました。免疫対策につながる栄養素の認知も徐々に拡がっているようですが、習慣として摂取している人はまだ少ないと言えそうです。
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 部長で 管理栄養士の濱裕宣先生によると、同じ栄養素を摂るにしても、調理方法や食べ合わせの工夫により、より高い免疫効果を得られるといいます。
免疫対策になる栄養素と摂り方のコツ
免疫機能を正常に働かせる効果がわかっている成分がいくつかあります。
また、免疫細胞は腸の中に多数存在していますので、腸内環境を整えることも考慮することが大切です。腸内環境を整えるために有効な食物繊維や乳酸菌、免疫細胞の働き自体を調整してくれるビタミンやミネラルなどがあります。また、免疫力の向上をサポートする成分として、タウリン、たんぱく質、ポリフェノールなども有効です。
いつものお味噌汁に加えるだけでより高い免疫調整効果が期待「玉ねぎユーグレナ味噌汁」
ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持つ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んだ食品です。ユーグレナの継続的な摂取が、感冒症状(かぜ様症状)の発生および諸症状の重症化を抑制することがわかっています。また、ユーグレナの継続摂取により、主にユーグレナ特有の成分で食物繊維の一種であるパラミロンが、免疫バランスを保ちインフルエンザウイルス感染症状を緩和するなど、免疫が関わる諸症状を緩和する可能性も報告されています。パラミロンは睡眠の質の改善やストレス緩和にも寄与することがわかっているので、その意味でも免疫対策にぜひ取り入れたい食品です。
ユーグレナはケルセチンという、玉ねぎやブロッコリーに含まれるポリフェノールとあわせるとより高い抗ウイルス効果が期待できるので、玉ねぎのお味噌汁にユーグレナパウダーを入れるなどもおすすめです。
腸を整えて免疫力アップをサポート!食物繊維たっぷり「フルーツヨーグルト」
疲労や不規則な生活、不摂生によって腸内環境が乱れると、自律神経のバランスが崩れ、免疫機能も正常に働かなくなってしまいます。乳酸菌は、腸内細菌叢のバランスを整えるので、免疫バランスに寄与すると考えられます。乳酸菌はチーズやヨーグルトに含まれており、食物繊維たっぷりのフルーツやユーグレナと食べ合わせても効果的です。ユーグレナは乳酸菌の働きを活性化することがわかっています。
免疫バランスの向上に「いかのカレー炒め」
タウリンは異物を見つけて即座に攻撃する自然免疫の役割を果たす好中球の殺菌作用を強化したり、異物を記憶して再び体内に異物が侵入した時に攻撃する免疫細胞であるT細胞の増殖や機能向上、B細胞を活性化させて抗体の産生を促すことで免疫バランスを向上してくれる働きがあることがわかっています。
タウリンはアミノ酸の1種で、肉類、乳製品、魚介類に多く含まれ、特に牡蠣やしじみ、あさりなどの貝類や、たこ、いかなどの軟体動物に多く含まれています。タウリンを多く含むいかのおすすめの調理法は、カレー炒め。カレーの香辛料である、ターメリックに含まれるクルクミンという栄養素が肝機能を強化してくれ、解毒作用や食べ物の消化能力の維持に役立ちます。
ビタミンBは茹でるのではなく焼くのが正解!免疫細胞の働きをサポート「豚肉と長ネギ炒め」ビタミン類を上手に摂取するコツ
摂取した栄養素の働きを円滑にさせるためには、「補酵素(英語では「コエンザイム」)と言われる成分たちが必要です。それにあたるのがビタミン類です。
・ビタミンB
ビタミンBは、食べ物をエネルギーとして代謝し、活動のためのエネルギーを作る栄養素です。また、免疫細胞のもとになる免疫グロブリン(「抗体」の機能を持つたんぱく質)はビタミンB群がないと作れません。ビタミンBは、豚肉やレバー、アボカド、バナナなどに豊富に含まれています。ビタミンB群は水溶性なので茹でると水に流れでてしまい、例えば豚肉は茹でるとビタミンB1が50%以上流れ出てしまうといわれます。そのため、調理方法としては焼く方がおすすめです。さらに、豚肉は長ネギやニラと一緒に食べると、長ネギやニラに含まれるアリシンという成分がビタミンB1の吸収率を高めてくれると言われています。
・ビタミンA
皮膚や粘膜を作り、健康維持するのに役立つ栄養素です。皮膚や粘膜が健康であることで、ウイルスの第一関門である体表面におけるウイルス侵入を防ぐことにもつながります。侵入するウイルスの量が減ると、ウイルスと戦う免疫機能への負担も減ります。ビタミンAは、レバーや緑黄色野菜に豊富に含まれています。ビタミンAは脂溶性なので、油で炒めたり、オイルの入ったドレッシングをかけたりすると吸収率が高まります。
・ビタミンC
様々な細胞同士をつなげる結合たんぱく質であるコラーゲンの生成に必須の栄養素です。攻撃された細胞の炎症を抑え、免疫機能の抵抗力を上げることにつながります。ビタミンCは、必要量以上のものは尿で出て行ってしまうので、1日3回に分けてこまめに摂るのがおすすめ。ビタミンCはブロッコリー、ピーマン、小松菜などの野菜に豊富ですが、野菜が苦手な人はキウイフルーツやみかんなどのフルーツから摂ると良いでしょう。
・ビタミンE
体内の脂の部分の抗酸化に役立つビタミンEは、血管を丈夫にしなやかにすることに一役買います。血管が元気であることで、血流がスムーズになり、臓器に栄養や酸素が行き渡るので、免疫細胞を作る肝臓や骨髄などの臓器も活性化し、免疫機能の正常化につながります。ビタミンEは、オリーブオイル、卵、アーモンドなどに豊富に含まれます。ビタミンCと合わせて摂ると、ビタミンEの抗酸化作用を長持ちさせてくれます。
免疫バランス向上に加え、老化抑制、肥満予防にも期待!ポリフェノールが豊富「レモンティー」
免疫バランス向上、老化抑制、肥満予防などの健康に生きる手助けをしてくれる機能性成分をフィトケミカルといい、代表的なものにポリフェノールがあります。ポリフェノールは、身体の中で日々作られ、細胞を破壊してしまう活性酸素を不活化する働きがあります。活性酸素が過剰になると免疫細胞にも障害が出るので、ポリフェノールを摂取することで活性酸素を抑制することが、免疫バランスの維持に寄与します。
ポリフェノールはゴボウやチョコレート、紅茶に豊富に含まれていますが、不安定な性質を持っています。酸性寄りの条件では比較的安定するため、紅茶の場合はレモンを入れてpH値を下げると安定するので、レモンティーは理に適った飲み方といえます。
監修:濱裕宣先生
(東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 部長)
『その調理、9割の栄養捨ててます!』や、レシピ本『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』など多数の栄養、健康レシピ本にかかわる。