エルゴチオネインが豊富に含まれる食べ物はタモギタケ!その含有量やその他の食べ物についても紹介!
エルゴチオネインが体に良いと聞いたのですが、そもそもエルゴチオネインとは何ですか?
ユーグレナ 鈴木
エルゴチオネインはアミノ酸由来の天然成分で、強い抗酸化作用を持つので健康に良いのですが、人間の体内で作ることができないので、食事で取り入れるしか方法がない希少成分なのです。
エルゴチオネインが含まれている食べ物や効果について知りたいです!
ユーグレナ 鈴木
それでは、エルゴチオネインに期待できる効果や、エルゴチオネインが含まれている食べ物について解説します。
エルゴチオネインとは?
エルゴチオネインは強力な抗酸化作用を持つ成分で、キノコなどの菌類や一部の細菌のみが合成できるものです。
そんなエルゴチオネインは、1909年にライ麦の麦角(ばっかく)菌から発見されました。
また、水に溶けやすいエルゴチオネインは、抗酸化作用を持つビタミンCやEと比べても、熱や酸に強い特長を持ち、120℃の中に2時間置いても影響はほとんど無いと言われています。
ユーグレナ社では2020年に「エルゴチオネイン・セレノネイン研究会」を発足させ、過去3回にわたり研究会を実施しました。
研究会の概要は「ユーグレナ先端研究」でご覧いただけます。
エルゴチオネインは、キノコや一部の細菌のみが合成できるアミノ酸なんですね。
ユーグレナ 鈴木
そうなんです。そんなエルゴチオネインに期待できる効果について、詳しくご紹介します。
エルゴチオネインに期待できる3つの効果
エルゴチオネインには、下記のような効果が期待できます。
①脳神経細胞を保護する効果
②抗酸化作用活性酸素による健康への悪影響を抑制する効果
③美肌効果
それぞれの効果について詳しく解説します。
①脳神経細胞を保護する効果
エルゴチオネインには強い抗酸化作用があり、活性酸素による脳神経細胞へのダメージを軽減するといわれています。
脳神経細胞へのダメージは、認知症やアルツハイマー病などの原因になることが知られています。
エルゴチオネインは「血管脳関門」と呼ばれる厳重な関所のようなものを通過できるため、脳の中で「脳神経を保護するはたらき」や「神経細胞を増やす」という、これまでにない驚きの効果が明らかになってきました。
以上の効果が、認知症やアルツハイマー病の予防につながると期待されているのです。
エルゴチオネインには脳神経を保護するはたらきもあり、認知症やアルツハイマー病の予防効果も期待できます。
このエルゴチオネインの脳神経細胞を増やすという働きは従来の機能成分と異なるということで注目を集めています。
また、エルゴチオネインには脳神経細胞のつながりを強化し、記憶力の回復に役立つことも確認されています。
②抗酸化作用
エルゴチオネインの抗酸化作用は非常に強く、ビタミンCやL-システインなどの抗酸化成分を上回るといわれています。
※L-システイン:非必須アミノ酸の一種で、皮膚や爪、毛髪に多く存在。
エルゴチオネインの抗酸化作用によって、活性酸素によるDNAの損傷や過酸化脂質の生成を防ぐ効果が期待できます。
DNAが損傷すると本来の遺伝子配列が変化してしまい、がん細胞化して異常増殖してしまうことがあります。
この異常増殖が進みがん組織が肥大化すると、痛みや体重の減少、疲労感などさまざまな症状を伴います。
また、過酸化脂質が過剰に生成されると、血管の内壁にとどまり、動脈硬化などの病気を引き起こす恐れがあります。
動脈硬化はさまざまな臓器のはたらきに弊害を及ぼし、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなるため予防が大切です。
エルゴチオネインを積極的に摂取して活性酸素の悪い作用を抑制し、健康的な毎日を心がけましょう。
③美肌効果
エルゴチオネインには、エラスターゼとチロシナーゼの活性阻害作用があり、美肌効果が期待できます。
エラスターゼは、肌のハリを保つ役割を持つエラスチンを分解してしまう酵素です。
エルゴチオネインがエラスターゼの活性作用を阻害することでエラスチンが守られ、肌のハリを維持する効果が期待できます。
また、チロシナーゼはシミやそばかすの原因となるメラニンを作る酵素のことで、エルゴチオネインを摂取するとチロシナーゼの活性が阻害され、メラニンの生成を防ぎます。
エルゴチオネインには、病気を防ぐ効果や美肌効果が期待できるんですね。積極的に摂取したいです!
ユーグレナ 鈴木
体に良い効果が期待できるので、ぜひ継続的に摂取したい成分です。それでは、エルゴチオネインの摂取方法についてもご紹介します。
エルゴチオネインの摂取方法
エルゴチオネインを人間の体内で作ることはできませんが、食事やサプリメントから手軽に摂取できます。
エルゴチオネインは、主にタモギタケやヒラタケなどのキノコに多く含まれています。
また、エルゴチオネインは熱や酸に強く、水に溶けやすい点が特徴です。
茹でて調理する際は栄養素が溶け出してしまうため、スープにして飲むことをおすすめします。
なお、エルゴチオネインは体内に長時間蓄えておけるため、毎日少しずつでも食事に取り入れると健康への効果が期待できます。
エルゴチオネインが多く含まれている食べ物や、効率よく摂取する方法について知りたいです!
ユーグレナ 鈴木
エルゴチオネインは体内に長時間蓄えておけるため、毎日少しずつでも食事に取り入れると、健康への効果がますます期待できます。エルゴチオネインが含まれる食べ物や調理方法について、このあと詳しく紹介していきます。
エルゴチオネインが含まれる食べ物5選
エルゴチオネインが含まれている食べ物は、下記の通りです。
①タモギタケ
②ヒラタケ
③エリンギ
④エノキタケ
⑤シイタケ
⑥甘酒
また、ご紹介するキノコのエルゴチオネインの含有量を比較すると、下記のようになります。
出典:天然抗酸化物質「エルゴチオネイン」の量産化と用途発展の可能性「今月の農業1月号2009.39-43」(山形大学農学部貫名学教授)
エルゴチオネインの含有量や、そのほかに含まれる栄養素をご紹介します。
①タモギタケ
キノコ類の中で、エルゴチオネインを最も多く含むのがタモギタケです。
北海道や東北地方で採れるキノコで、見た目が黄色いことからゴールデンオイスターマッシュルームとも呼ばれます。
また、タモギタケにはビタミンB2・パントテン酸・ビオチン・葉酸も比較的多く含まれています。
健康に良いだけでなく、複数の旨み成分を含んでいるため、旨みがかけ合わさり味も美味しい食材です。
エルゴチオネインは水溶性のため、スープなどに入れることで、溶け出した栄養素も丸ごと飲むことができます。
風味が良く歯ごたえがあるため、醤油炒めなどのシンプルな調理方法もおすすめです。
<タモギタケに含まれる栄養素と期待できる効果>
栄養素 | 期待できる効果 |
ビタミンB2 | ・皮膚や粘膜の健康を維持する効果 ・成長を促進する効果 ・生活習慣病の予防・改善効果 ・ダイエット効果 ・糖尿病の予防効果 |
パントテン酸 | ・ストレスを緩和する効果 ・動脈硬化の予防効果 ・肌や髪の健康を維持する効果 |
ビオチン | ・糖の代謝を促進する効果 ・皮膚や粘膜の健康維持を助ける効果 ・アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果 |
葉酸 | ・貧血の予防効果 ・動脈硬化の予防効果 ・胎児の神経管閉鎖障害の予防効果 ・成長を促進する効果 ・脳の機能を改善する効果 |
②ヒラタケ
ヒラタケに含まれるエルゴチオネイン含有量はタモギタケについで多いです。
また、ヒラタケにはビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸も比較的豊富に含まれています。
傘の部分が大きく厚みがあるため歯ごたえがある点が特徴です。
風味にクセがないため、スープや炒め物、炊き込みご飯などさまざまな料理に合います。
<ヒラタケに含まれる栄養素と期待できる効果>
栄養素 | 期待できる効果 |
ビタミンB1 | ・疲労を回復効果 ・神経機能を正常に維持する効果 |
ビタミンB2 | ・皮膚や粘膜の健康を維持する効果 ・成長を促進する効果 ・生活習慣病の予防・改善効果 ・ダイエット効果 ・糖尿病の予防効果 |
ナイアシン | ・皮膚や粘膜の健康を維持する効果 二日酔いの予防効果 血行促進の効果 |
パントテン酸 | ・ストレスを緩和する効果 ・動脈硬化の予防効果 ・肌や髪の健康を維持する効果 |
ビオチン | ・糖の代謝を促進する効果 ・皮膚や粘膜の健康維持を助ける効果 ・アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果 |
ビオチン | ・糖の代謝を促進する効果 皮膚や粘膜の健康維持を助ける効果 アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果 |
葉酸 | ・貧血の予防効果 ・動脈硬化の予防効果 ・胎児の神経管閉鎖障害の予防効果 ・成長を促進する効果 ・脳の機能を改善する効果 |
③エリンギ
エリンギにもエルゴチオネインが含まれています。
エリンギは、シャキシャキした食感とコリコリした食感が特徴的で、アワビに似ているといわれています。
キノコ類特有の味や香りは弱いため、キノコ類が苦手な方でも食べやすいでしょう。
また、エリンギにはビタミンB2・ビタミンD・ナイアシン・パントテン酸・葉酸も比較的豊富に含まれています。
<エリンギに含まれる栄養素と期待できる効果>
栄養素 | 期待できる効果 |
ビタミンB2 | ・皮膚や粘膜の健康を維持する効果 ・成長を促進する効果 ・生活習慣病の予防・改善効果 ・ダイエット効果 ・糖尿病の予防効果 |
ビタミンD | ・骨や歯を強くする効果 ・糖尿病の予防効果 ・免疫力を向上させる効果 ・インフルエンザの予防効果 |
ナイアシン | ・皮膚や粘膜の健康を維持する効果 二日酔いの予防効果 血行促進の効果 |
パントテン酸 | ・ストレスを緩和する効果 ・動脈硬化の予防効果 ・肌や髪の健康を維持する効果 |
ビオチン | ・糖の代謝を促進する効果 皮膚や粘膜の健康維持を助ける効果 アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果 |
葉酸 | ・貧血の予防効果 ・動脈硬化の予防効果 ・胎児の神経管閉鎖障害の予防効果 ・成長を促進する効果 ・脳の機能を改善する効果 |
④エノキタケ
エノキタケにもエルゴチオネインが含まれています。
エノキタケには根元に菌床とおがくずが付いているため、調理する際は根元の部分を切り落としましょう。
エノキタケの旨味成分は水に溶け出してしまうため、洗わずにそのまま調理することをおすすめします。
また、エノキタケにはビタミンB1・ビタミンD・鉄・パントテン酸・ビオチン・葉酸も比較的豊富に含まれています。
<エノキタケに含まれる栄養素と期待できる効果>
栄養素 | 期待できる効果 |
ビタミンB1 | ・疲労を回復する効果 ・神経機能を正常に維持する効果 |
ビタミンD | ・骨や歯を強くする効果 ・糖尿病の予防効果 ・免疫力を向上させる効果 ・インフルエンザの予防効果 |
鉄 | ・貧血の予防効果 ・疲労を回復する効果 |
パントテン酸 | ・ストレスを緩和する効果 ・動脈硬化の予防効果 ・肌や髪の健康を維持する効果 |
ビオチン | ・糖の代謝を促進する効果 ・皮膚や粘膜の健康維持を助ける効果 ・アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果 |
葉酸 | ・貧血の予防効果 ・動脈硬化の予防効果 ・胎児の神経管閉鎖障害の予防効果 ・成長を促進する効果 ・脳の機能を改善する効果 |
⑤シイタケ
シイタケにもエルゴチオネインが含まれています。
シイタケの風味は水に溶け出す性質があるため、汚れを取る際は水洗いではなくキッチンペーパーで拭き取る程度にしましょう。
軸の部分は切り落として食べても良いですが、みじん切りにすれば料理に食感をプラスできます。
出汁を取ることにも使えるため、スープに入れても良いでしょう。
また、シイタケには食物繊維・ビタミンB2・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸も比較的豊富に含まれています。
<シイタケに含まれる栄養素と期待できる効果>
栄養素 | 期待できる効果 |
食物繊維 | ・腸内環境を改善する効果 ・コレステロール値を下げる効果 ・糖尿病の予防効果 ・高血圧の予防効果 ・肥満の予防効果 |
ビタミンB2 | ・皮膚や粘膜の健康を維持する効果 ・成長を促進する効果 ・生活習慣病の予防・改善効果 ・ダイエット効果 ・糖尿病の予防効果 |
ナイアシン | ・皮膚や粘膜の健康を維持する効果 ・二日酔いの予防効果 ・血行促進の効果 |
パントテン酸 | ・ストレスを緩和する効果 ・動脈硬化の予防効果 ・肌や髪の健康を維持する効果 |
ビオチン | ・糖の代謝を促進する効果 ・皮膚や粘膜の健康維持を助ける効果 ・アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果 |
葉酸 | ・貧血の予防効果 ・動脈硬化の予防効果 ・胎児の神経管閉鎖障害の予防効果 ・成長を促進する効果 ・脳の機能を改善する効果 |
⑥甘酒
エルゴチオネインは、原料に米麹のみを使用した甘酒と、原料に米麹と酒粕を使用した甘酒にも含まれています。
一方で酒粕のみの甘酒にはエルゴチオネインは含まれていません。
米麹の甘酒には体内で合成できない9種類の必須アミノ酸が含まれており、「飲む点滴」と呼ばれることもあります。
また、三大栄養素の1つであるたんぱく質は、9種類の必須アミノ酸と、体内で合成される11種類の非必須アミノ酸で構成されます。
たんぱく質は体を作るだけでなく、酵素やホルモンなど体の機能を調節する大切な役割を果たしているため、必須アミノ酸を含む食品を意識して摂取することが大切です。
これらの食べ物から、エルゴチオネインが摂取できることに加えて、さまざまな栄養素も摂取できるのは嬉しいですね。
ユーグレナ 鈴木
そうですね。特にキノコは体に良い栄養素が豊富に含まれているので、毎日食事に取り入れると良いでしょう。
エルゴチオネインが含まれる食べ物のまとめ
エルゴチオネインに期待できる効果や、エルゴチオネインが含まれる食べ物をご紹介しました。
エルゴチオネインには、抗酸化作用のほか、美肌効果や神経細胞を保護する効果などが期待できます。
また、エルゴチオネインは体内で作れないため、食べ物から摂取が必要です。
エルゴチオネインは2021年に初めて消費者庁に受理されました。
その届け出(中高年の方の記憶力及び注意力の維持)によると、1日当たり5mgのエルゴチオネイン摂取が有効として推奨されています。
特にタモギタケはエルゴチオネインの含有量が圧倒的に多いため、積極的に食事に取り入れましょう。
毎日、キノコを摂取することが難しいというあなたにおすすめなのが、サプリで必要量を摂取するという方法です。
サプリであれば毎日キノコ料理を作る必要もなく、手軽にエルゴチオネインを摂る事ができます。
サプリで摂る際はエルゴチオネインの含有量が十分含まれたものを選んでくださいね。
ユーグレナ社では「エルゴチオネイン・セレノネイン研究会」の主催を通して、情報発信や交流の場を作りながらエルゴチオネインに関する研究を重ねています。
詳しい研究結果は、「ユーグレナ先端研究」をご覧ください。
今日はエルゴチオネインについて教えていただきありがとうございました!
ユーグレナ 鈴木
はい。エルゴチオネインは、脳を維持する機能性成分であり、脳神経細胞を保護する効果や抗酸化作用が期待できるので、ぜひ積極的に摂取してみてください。
さっそくキノコや甘酒を食事に取り入れてみたいと思います!
監修:鈴木 健吾
(執行役員CTO)
東京大学農学部生物システム工学専修を卒業。 2005年8月、取締役研究開発部長としてユーグレナ創業に参画、同年12月に、世界初となる微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。 2016年東京大学大学院博士(農学)学位取得、2019年に北里大学大学院博士(医学)学位取得。 現在、ユーグレナ社研究開発担当の執行役員として、微細藻類ユーグレナの生産およびヘルスケア部門における利活用に関する研究等に携わる。 マレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院客員教授、東北大学・未来型医療創造卓越大学院プログラム特任教授を兼任。 東北大学病院ユーグレナ免疫機能研究拠点研究責任者。著書に『ミドリムシ博士の超・起業思考 ユーグレナ最強の研究者が語る世界の変え方』(日経BP)など。