栄養はバランス良く摂らないと摂取損に
全7回に渡ってお送りする「100歳時代の健康課題」と題したコラム、第6回目です。日本人の平均寿命が伸びていく中で、多くの方に健康な⽇々を過ごしていただけるような情報をお届けしてまいります。
健康で長生きするためには、栄養をバランス良く摂取することが大切です。栄養摂取の重要性はわかっていたとしても、“バランス良く”という点がおろそかになっていないでしょうか。
身体の組織や働きは、多様な栄養素が化学反応を起こして作り出します。不足している栄養素があれば、十分に摂取した栄養素までもが、不足栄養素に対応した量だけ利用され、それ以外は排出されてしまいます。これを「桶の理論」といいます [下図]。
例えば、カルシウムを細胞に取り込むには、カルシウム2に対してマグネシウム1を同時に摂る必要があります。マグネシウムの割合が0.5しかなければ、利用されるカルシウムは1となり、それ以上摂取した分は使われません。
さらに、骨を作るだけでも、カルシウム、マグネシウム、リン、20種のアミノ酸、13種の必須ビタミンほか、多くの栄養が必要で、それぞれに適切な比率があります。
特定の栄養素だけをたくさん摂取したとしても、バランスの良さがないと摂取損になる可能性があるのです。
食生活においては、「バランス」を意識していきましょう。
出典:「栄養科学の歴史」講談社サイエンティフィック