健康長寿のコツは「多様食」
全7回に渡ってお送りする「100歳時代の健康課題」と題したコラム、最終回です。日本人の平均寿命が伸びていく中で、多くの方に健康な⽇々を過ごしていただけるような情報をお届けしてまいります。
さまざまな栄養素が複雑に関わってできている私たちの身体には、多様な栄養の摂取そして栄養バランスが大切です。しかし、食事が簡素になりがちで、消化・吸収力も落ちてくる50代以降ともなると、栄養摂取量は低下する傾向にあります。そこで今すすめられているのが、いろいろな食べ物を組み合わせて多様な食品を食べる「多様食」です。
東京都健康長寿医療センターでは、肉、魚介類など10種類の食品群を対象にして、1日1回でも食べれば1点とする食に関するガイドライン「食品摂取の多様性スコア(DVS)」を作成しています[図2-2]。
10点満点で、目標は9点。エネルギー摂取量や食べる量は関係しないのに、点数が高くなると、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの微量元素の摂取量が増えて、栄養素がぎっしり詰まった「栄養素密度」の高い多様食になります。高齢者を5年追跡した調査においては、点数の低い人の生活機能低下の危険度は、点が高い人の1.64倍ということがわかりました[図2-3]。 この結果から、多様食は寝たきり予防に効果的であると言えるでしょう。
消化力も吸収力も落ちてくる50代以降にとって、多様な栄養素の十分な摂取はなかなかの困難かもしれません。さらに、年齢とともに食べる量も減少傾向にあるので、大量に食べることで必要量をクリアするのも難しくなってきます。そこで、提唱されているのが「多様食」ですが、忙しい日々の食事で「毎日9点以上」の摂取を続ける自信のある人は少ないでしょう。こういった問題を解決するのが、健康食品などの利用です。栄養をバランス良く摂取する必要性を考えても、50代からは特に、単品の栄養素より幅広い栄養素を豊富に含むものを選びたいもの。多様な栄養素を過不足なく毎日摂り続けることができるよう、自分の食生活に組み入れやすいものを見つけてみてはいかがでしょうか。
出典:東京都健康寿命医療センター研究所