微細藻類ユーグレナの摂取により、心不全の発症にともなう腸内環境の悪化を緩和し、心機能低下を抑えることを示唆する研究結果を発表しました
マウスにユーグレナ2%を含む餌、または通常餌を8週間続けて摂取させた後、イソプロテレノール(ISO)を7日間投与した心不全モデルマウスを作成しました。通常餌を摂取した心不全モデルでは、コントロール群と比べて、心室壁の肥厚や心収縮能の低下が認められました(図1)。一方、ユーグレナを摂取した心不全モデルマウスでは、壁肥厚に影響は見られないものの、心収縮能の低下が抑制されました。
次に、心不全モデルマウスの消化管機能・便秘症状について調べるため、盲腸内に残存する糞便量を評価しました。ユーグレナを摂取した心不全モデルマウスでは、通常餌を摂取した心不全モデルマウスと比べて、盲腸内容物は減少したことから、便秘症状が改善したことが示されました(図2)。また、ユーグレナを摂取した心不全モデルマウスでは、通常餌を摂取した心不全モデルと比べて、蠕動運動能の回復が確認されました(図3)。
今回の結果から、ユーグレナは心不全における消化管機能や腸内環境の悪化を防いで便通症状を改善させ、さらに心機能低下も抑制する可能性が期待されます。