健康コラム

藻活について

アイコン 藻活を知ろう

健康や美容、環境の観点から国内外で注目を
集めている藻活について見ていきましょう。
近年、藻類の魅力を知った企業では
さまざまなものにも活用しているようです。
藻類への理解を深め、
自分に合わせた藻活を始めてみませんか?

ユーグレナ 鈴木 監修者
株式会社ユーグレナ 共同創業者 兼 エグゼクティブフェロー 
鈴木 健吾

※1 「藻活」は㈱ユーグレナの登録商標です。
※2 サステナブル:持続可能な、ずっと続けていけるという意味「地球や社会に優しく、未来の人々のために資源や環境を守りながら暮らしていくこと」

藻活とは

藻活とは、日々の食事に藻類を取り入れることで、健康的でサステナブルな生活を目指す取り組みです。
皆さんも知っているひじきやわかめ、海苔などの海藻はもちろん、
ユーグレナなどの微細藻類を含めた藻類には、腸を元気にする食物繊維や、体に必要なビタミン・ミネラルなど、
私たちの健康と美容をサポートしてくれる成分が豊富に含まれています。
藻類を使ったスムージーを飲んだり、サラダにひじきやわかめを加えたりなど、
手軽に始められることから、世界でも注目を集めています。
また、藻類は、健康の観点以外にも他の食材と比較して単位面積当たりの生産効率が良かったり、
ブルーカーボンによって大気中の二酸化炭素濃度低下に貢献できたりと、
サステナブルな素材であることも国内外で注目を集めている理由です。

藻類の種類:大型藻類・微細藻類

ここでは「そもそも藻類とは何か」「どのような種類があるのか」を解説します。
藻類とは、光合成を行う生物の中で、コケ植物やシダ植物、種子植物など陸上植物以外の生物の総称です。
藻類には大きく分けて「大型藻類」「微細藻類」の2種類があります。

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大型藻類とは

大型藻類とは、「わかめ」や「昆布」「もずく」などの海藻のように、肉眼で見ることのできる藻類です。

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微細藻類とは

一方、微細藻類とは、1マイクロメートルから1ミリメートル程度の非常に小さな藻類で「ユーグレナ」「クロレラ」など健康食品として利用されることが多い藻類です。

日本の藻活・海外の藻活

藻活は近年、日本だけでなく世界中で注目されています。
そこで、日本と世界における藻活事情について細かく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

日本

まずは、日本の藻活事情についてみていきましょう。

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日本の海藻食の歴史

国内外で注目を浴びている藻活ですが、日本では古くから海藻食の文化があったことをご存じでしょうか。
わかめは縄文時代(紀元前6,000年~300年)から食べ始められたともいわれており、青森県にある亀ヶ岡遺跡から縄文土器と一緒に発見されています。
また、720年に編纂(へんさん)された日本書紀にも海藻が登場しており、日本人の食文化に古くから根付いていたことがわかります。

日本人特有の腸内細菌

2010年4月8日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」によると、日本人には特有の腸内細菌があると発表されています。
この腸内細菌は、ノリなどのアマノリ属の海藻に含まれる「多糖類」を分解できる特別な能力を持っています。
論文の内容から、日本人は昔から海藻を食べる文化があるため、腸内細菌が進化して、海藻の成分を効率よく分解できるようになったと考えられます。

出典:ネイチャー(Nature)

栄養源としての微細藻類研究の歴史

ユーグレナやクロレラなどの微細藻類は古くから優れた栄養価値が知られており、第二次世界大戦後の栄養不足を背景に、徳川生物学研究所でクロレラの食用大量培養研究が進められました。
2005年には株式会社ユーグレナが石垣島で「ユーグレナ」の食用屋外大量培養技術の確立に成功したりと、さまざまな研究が今も進められています。

2023年以降、最新の腸活手法として、「藻活」が注目されている

2023年以降、日本では革新的な微細藻類の生産技術開発を推進するチームの発足や、健康志向と食トレンドの進化などによって、栄養豊富な海藻類、微細藻類を食べる「藻活」が注目されています。
日本経済産業省では、2025年に開催される大阪・関⻄万博に「いのちと、いのちの、あいだに」をテーマとした日本政府館(日本館)を出展、展示公開の第1弾に藻類が主役となるファームエリアを公開予定です。

海外

次は、海外の藻活事情についてみていきましょう。

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2023年10月にパリで史上初となるEU藻類啓発サミットが開催

2023年10月に行われたEU藻類啓発サミット※1では、藻類栽培が国家・地域経済・人々・海洋再生にもたらす利益についての啓発が行われ、藻活に関する認識を高める機会となりました。
さらに、アメリカの調査会社が2024年に発表したレポート「GPG Disruption in 2024」※2では、サステナビリティのDisruption(破壊的革新)として、海藻や藻類を取り上げています。

海外の有名ハリウッドセレブ夫妻や、有名シンガーも食生活に藻活を取り入れている

海外では、有名ハリウッドセレブ夫妻や、有名シンガーも健康と美容のために食生活に藻類を取り入れているという情報があり、藻活は日本を超えて世界でも素晴らしさと魅力が注目されています。
また海外のTikTokでは、シーモスジェル(海藻をペースト状にした食品)がトレンド入りするなど、栄養価が高くヘルシーな食材として藻類へのさらなる人気が高まっている状態です。

直近のブームについて

海外では、ロサンゼルス(LA)の超高級ナチュラル系スーパーで販売されるスムージーが、海外セレブたちの中で大人気となっています。
スムージーには、藻類のシーモス(紅藻類の総称)などさまざまな成分が含まれており、美味しい1杯を飲むだけで美容と健康に役立つという点が人々の心を掴んでいるようです。

アメリカ大手スーパーが注目するフードのトレンドにも

藻類などの「植物ベースの水生食材」は、アメリカ大手スーパーが注目するフードのトレンドとして認知されており、スーパーフードとして今後も注目されていくことが予想されています。
低カロリーで栄養価が高い藻類は、幅広いニーズを持つ人々に愛され、浸透していくことでしょう。

※1 EU藻類啓発サミットのページにリンク
https://maritime-forum.ec.europa.eu/contents/first-ever-eu-algae-awareness-summit_en
※2 GPG Disruption in 2024 のページにリンク
https://www.spins.com/wp-content/uploads/2024/06/SPINS_CPG-Disruption-in-2024.pdf

藻の健康効果

次は、藻の健康効果について迫ります。
藻類に共通する特徴は「食物繊維の豊富さ」です。
食物繊維が豊富でありプレバイオティクス※1としての役割を担うことに加え、様々な機能性について研究が進んでいます。
また、ビタミン・ミネラルなどの微量栄養素を豊富に含んでいることも大きな特徴の一つでしょう。

微細藻類

微細藻類に期待できる健康効果は次のとおりです。

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ユーグレナ

59種類の豊富な栄養素、免疫バランス調整、睡眠の質の改善
ユーグレナには、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など、私たちに必要な59種類の豊富な栄養素が含まれていることに加え、ユーグレナ類特有の食物繊維(β-1,3-グルカン)であるパラミロンを持っています。摂取による便通改善だけでなく、免疫バランス調整や睡眠の質の改善に効果が期待できます。
また、光合成をするために自ら光のある方向に動くことができるという動物のような性質を持っています。それゆえに、動物性と植物性の両方の栄養素が含まれていたり、植物のような細胞壁がなく、細胞膜に覆われていることで消化率が高かったりと、面白い特徴を持つのもユーグレナの魅力です。

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クロレラ

豊富な栄養素、デトックス、生活習慣病対策
クロレラには、タンパク質が豊富に含まれているため、必須アミノ酸をバランスよく摂取できます。他にもビタミンDをはじめとする豊富なビタミン、ミネラル、カロテノイド、不飽和脂肪酸、葉緑素(クロロフィル)など豊富な種類の栄養素を持っており、長らく「野菜代替素材」として注目されていましたが、近年では学術研究が大きく進展し、デトックス(重金属、ダイオキシン、農薬、カビ毒などの排出を促進するなど)、生活習慣病の症状緩和、抗酸化/抗炎症、免疫賦活などのカテゴリーで研究が進められています。

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スピルリナ

高たんぱく、抗酸化作用
スピルリナは、タンパク質が60~70%と非常に高く、必須アミノ酸を豊富に含んでいます。ビタミンE、B1、B2、B3、B9(葉酸)などのビタミン、フィコシアニン(青色色素)やβカロテンを含み、抗酸化作用を持つ成分が多いです。

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オーランチオキトリウム

血液サラサラ、脳の活性化、血圧の低下
オーランチオキトリウムには、血液をサラサラにし、脳を活性化させる効果が期待できるDHAが、重量あたりで青魚より豊富に含まれています。魚類も人間と同様、体内でDHAを生産することはできないため、オーランチオキトリウムのような藻類から摂取しています。世界的な人口増加、気候変動の影響による魚介類資源の減少が懸念されているなかで、新たなDHAの供給源としての期待も高まっています。
また、近年オーランチオキトリウムには血圧を低下させる作用があるという研究結果が報告されており、生活習慣病の予防にも役立ってくれるでしょう。

大型藻類(海藻)

次は、海藻などの大型藻類が持つ健康効果も見ていきましょう。

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わかめ

食後血中脂質上昇抑制、食後血糖値上昇抑制、便通改善、免疫調整
わかめは、フコイダンやフコキサンチン、ラミナリン、ヨウ素、鉄、ビタミンEなどを含み、食後の脂質と血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。また、わかめを食べることによって腸内環境を整えるビフィズス菌が増加し、便通の改善にも効果が期待できることから便通改善や生活習慣病予防など健康と美容の両面で役立ってくれるでしょう。
わかめの根もと(メカブ)に含まれる水溶性食物繊維「フコイダン」は、免疫力を高める機能があることもわかっています。

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昆布

便通改善、抗肥満、豊富なミネラル、むくみ予防
昆布は、ラミナリンやフコイダン、アルギン酸などの食物繊維や、身体に必要なミネラルがバランスよく含まれており、便通改善や体の健康維持に効果が期待できます。また、血中中性脂肪の上昇抑制の機能についても研究がされています。
さらに、ミネラルの一つ「カリウム」は体内の余分な水分を排出する効果が期待できるため、むくみ予防など美容にも役立ってくれるでしょう。

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もずく

免疫調整、抗炎症、抗腫瘍
もずくには、フコイダン、カルシウム、マグネシウムなどが含まれます。特に独特のぬめりに含まれるフコイダンは、血液が固まるのを防ぎ、血栓を防止する効果や、コレステロールを低下させる作用などが期待できます。
また、100gあたりわずか6キロカロリーと低カロリーでミネラルや食物繊維も豊富であるため、食べすぎ防止や、便通の改善などによって肥満防止にも役立ってくれるでしょう。

※1 大腸内の特定の細菌の増殖および活性を選択的に変化させることにより、宿主に有利な影響を与え、宿主の健康を改善する難消化性食品成分

参考文献
・Nutrients 2021, 13, 563. 「Edible Microalgae and Their Bioactive Compounds in the Prevention and Treatment of Metabolic Alterations」
・J Appl Phycol (2011) 23:543–597 「Bioactive compounds in seaweed: functional food applications and legislation」

サステナブルな藻

冒頭で解説したとおり、近年、藻類はサステナブルな食材として注目を浴びています。
次は、藻がなぜサステナブルなのかについて解説します。

微細藻類

微細藻類がサステナブルな食材といわれる理由は次のとおりです。

生産効率が高い

微細藻類は、増殖速度が速く、水温や窒素、リンなどの条件が整えばすぐに増殖します。
単位面積当たりのバイオマス(生産資源)の生産効率は陸上植物に比べると非常に高いです。

農地と競合せずに培養可能

微細藻類は、農地としては利用できない場所でも培養できます。
例えば、宇宙空間での培養も研究されており、将来人類が宇宙で生活する際の食材として活躍するかもしれません。

大型藻類(海藻)

次は、海藻などの大型藻類がサステナブルな食材といわれる理由を見ていきましょう。

ブルーカーボン

ブルーカーボンとは、沿岸や海洋生態系が光合成によりCO₂を取り込み、その後海底や深海に蓄積される炭素のことです。
わかめや昆布といった大型藻類(海藻)は、海水中のCO₂を光合成で吸収し、炭素を自身の体に貯蔵します。
そのため、地球温暖化の原因である大気中のCO₂削減につながる可能性が示唆されているのです。

その他、あちこちで活躍する藻類

近年、藻類の魅力に着目した企業が、さまざまなものに藻類を活用しています。
例としては「化粧品」「バイオ燃料」「肥料」「飼料」などが挙げられるでしょう。

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化粧品

近年、高級ブランドからも藻類を配合したコスメが続々と登場し、
注目を集めている

その理由として、藻類が配合されたコスメは「肌の免疫細胞を活性化する」「ターンオーバーの促進」「紫外線からの肌ダメージを抑える」などさまざまな機能があるためです。
また、化粧品の成分には大量に使用されることで森林の開墾などが進み、大規模な環境破壊などにつながる可能性があると考えられているパーム油が含まれているものもあります。
一方、藻類由来の成分は環境への負荷が少なく、サステナビリティ製品としても評価が高いです。

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バイオ燃料

藻類が地球環境に優しいバイオ燃料の原料として大注目!
バイオ燃料とは、再生可能な生物資源(バイオマス)を原料にした代替燃料をいいます。
バイオ燃料は燃焼すると、石油などの化石燃料と同じようにCO₂を排出しますが、原料となる植物の成長過程の中で光合成を行います。
光合成によってCO₂を吸収するため、化石燃料と比べて地球に優しい燃料だといわれているのです。
特に、微細藻類は、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさず持続可能性に優れた原料で、成長速度が速いこと、ヤシ油などの油を多くつくる植物よりも数十倍の油を産生できることから、バイオ燃料の原料として注目されています。

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肥料

藻類がお野菜をさらに美味しくするための肥料に!
微細藻類は農業においても、土壌改善や肥料の原料の一つとして研究開発が進められています。
微細藻類を農地の土に混入させたり、肥料の原料として使ったりすることで作物の生育がよくなるという研究結果も報告されており、今後もさまざまな取り組みによって微細藻類の大きな可能性を発見できるでしょう。
事実、過去に当社が行った「ユーグレナを配合した有機化成肥料の効果検証のための栽培テスト」では、ユーグレナを含まない有機化成肥料と比較して、ユーグレナを含む有機化成肥料では野菜(コマツナ、ホウレンソウ)1株あたりの可食部重量の増加が確認されています。

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着色料

あの国民的なソーダアイスの色も、実は藻類由来だとか
藻類は、天然の着色料として広く利用されており、国民的ソーダアイスの色も藻類由来といわれています。
スピルリナ由来のフィコシアニンや、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチン、抹茶の緑色の表現に使われるクロレラが代表的で、アイスの他にもさまざまな食品の着色料として使用されています。

藻活は、健康や環境に対してさまざまな良い効果をもたらしてくれます。
まずは1食からでも普段の食事に藻類を取り入れるなど、自分に合わせた藻活を始めてみましょう。
もし「わかめ」や「昆布」などが苦手、毎日食べるのは大変という場合にはユーグレナやクロレラ、スピルリナなどの微細藻類が利用されている健康食品を取り入れることもおすすめです。

ユーグレナ 鈴木

監修:鈴木 健吾(株式会社ユーグレナ 共同創業者 兼 エグゼクティブフェロー)

2005年東京大学大学院農学生命科学研究科 修士課程在学中に株式会社ユーグレナの設立に携わり、共同創業者の一人として研究開発の責任者を担当。同年12月に世界初となる微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功し、2024年よりエグゼクティブフェローに就任。
2016年、博士(農学)学位取得。2019年、博士(医学)学位取得。理化学研究所 藻類資源アップサイクル研究チーム チームリーダー、マレーシア工科大学 マレーシア日本国際工科院 客員教授、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラム特任教授(客員)を務める。著書に『ミドリムシ博士の超・起業志向』(日経BP)がある。

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